蒼くんの話をしていたはずが、いつのまにか雑談になっていた。
「ふふっ」
こらえられなくて、たまに肩が揺れちゃうことも。
こんな風に、授業中に誰かとメッセージをやり取りするなんてことも、あたしにとっては初めての経験。
先生に見つからないようにというスリルの中交換されるやり取りは、すごくドキドキした。
そのとき、ジッと視線を感じて……。
隣に首を振ると。
穏やかな瞳の久我くんが、あたしを見ていた。
まるで、安心したように。
……あ。
次から次へと入ってくる面白ネタに、蒼くんのことは頭から抜けていた。
心配して送ってくれたものが、元気づけるメッセージに変わっていた。
蒼くんに彼女がいる。
その事実はすごく胸が痛くて苦しいのに。
その気持ちを共有してくれた久我くんの心に、あたしはいま間違いなく救われていた。