君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



そしてそこから、目が離せなくなる。



――あたしが桜園高校に入りたかった、ふたつ目の理由。



それは『彼』の存在。


お兄ちゃんの親友だった、水瀬蒼(ミナセ アオ)くん。


その彼が今、目の前に居たのだ。





小学5年生のとき。お兄ちゃんが蒼くんを家に連れてきたその日に、あたしの初恋は始まった。

一目惚れ、だった。



『お邪魔します』



太陽みたいな眩しい笑顔で挨拶してくれた蒼くんに、あたしの心臓は大きく音を立てたんだ。


それ以来、家に遊びに来ると『美紗、美紗』って、あたしのことを妹のように可愛がってくれて。

蒼くんが遊びにくるのを、いつも心待ちにしていた。