君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



……っ。


得意げに話す工藤くんを前に、あたしは息をのんだ。



「絢斗っ……!」



そのとき、久我くんが焦ったように工藤くんの腕を引っ張った。



「おい、なにすんだよっ」


「いいから黙れ!こっち来い!」



どう見ても不自然な行動。


そのまま久我くんに羽交い絞めにされながら、教室を出て行く。


工藤くんの言ったことが余計リアルさを増す。


まるで、この話を終わらせるかのようなその行動に。



「……美紗……?」



気遣うようにあたしを呼ぶ伊織ちゃんの声が、どこか遠くに聞こえた。


蒼くん、彼女いたの……?


頭の中は真っ白だった。


あまりにビックリしすぎて、涙もでてこない。


ただ放心して、何も考えられない。



「美紗ぁ……」



あたしの手を両手でぎゅっと握ってくれる伊織ちゃんの手が温かいってこと以外。