「お、蒼先輩じゃん」



休み時間のたびに久我くんのもとへやってくる工藤くんも、窓の外の蒼くんに気づいたみたい。



「蒼せんぱーい」



開いている窓から叫ぶものだからドキッとしてしまった。


普段から声の大きい工藤くんが叫べば、それはグラウンドにも響き渡ったようで。


校舎へ引き上げる途中だった蒼くんが、その声に気づき首を振った。


わっ、こっち見た……!



「お疲れでーす」



再び工藤くんが声を張り上げると、それに応えるように蒼くんが手を挙げた。


白い歯をのぞかせながら。


――ドキッ!


その笑顔の破壊力といったら。


あたしを見てくれたわけでもないのに、それだけでもう幸せ。


今日はすっごくいい日かも。


工藤くんありがとう!ひそかに感謝する。