「マジ助かった。ありがとな」
授業は無事終わった。
あの数学教師は、すぐ放課後に居残りさせるやつだから、もしできなかったらどうなってたかわかんねえ。
そんなことで部活に遅刻したくないし。
「どういたしまして」
ふわっと優しく笑う永井。
永井が笑うと、まわりに花が咲いたかのように明るくなる。
俺の世界に色がつく。
……胸が、ドクンと音を立てる。
だから、なんなんだよ、これは……。
「あっててよかった。ほんとはちょっと自信なかったの」
華奢な細い手を胸に当てて、今度はホッとしたように笑う。
それを見て、俺は無意識に顔をそらしていた。
まともに永井の顔が見れない。
蒼先輩のことがあるからじゃない。
……俺自身の問題だ。
そんな風に笑われると、胸の奥が熱くなって、ヘンな感じがするんだ。
なんか……調子狂う。



