君が泣いたら、俺が守ってあげるから。



そんな彼女に、今なにを頼まれているかというと……。


同じ中学だったバスケ部の男の先輩に、放課後練習を見てきて欲しいと言われたみたいで。

ひとりじゃ行きにくいから、ついて来てほしいと言われたんだ。



「仲良かった先輩の頼みだから断れなくて」



可愛いだけじゃなくて、人がいいもんね。伊織ちゃんは。



「1回だけでいいからお願い。この通り!」



ひんやりとした細い指が、あたしの手を包む。


大好きな伊織ちゃんの頼みだもん。



「うん、いいよ」



あたしはニッコリ笑って頷いた。