あれだけ大事に持っていたグミがないことに気付いたのは夜。
カバン、サブバッグ、すべてをひっくり返してから思い出したんだ。
倒れたときに手に持っていたことを。
「大事なもんだろ」
「……ありがとう」
そんなふうに言われて恥ずかしいけど、素直にうれしかった。
もう無くしちゃったと思ってたから。
拾ってくれたのが久我くんでよかった。
他の人が拾っていたら、ゴミにされてしまっていたかもしれない。
差し出されたグミを、大切に受け取って手の中に収める。
「昨日はびっくりした。急に目の前で倒れるから」
「あ、ごめんね。ビックリするよね」
「もう大丈夫なの?てか、どうしたんだよ」
「うん。どうしたんだろう……ね、へへっ」