「……美紗?」


「……っ、あ、ごめんっ……」



なにしてるんだろう、あたし。

本人を目の前に見惚れるなんて。


慌てて意識をこの場に戻し、歩き出した蒼くんに並ぶと。



「凜太朗!」



蒼くんがそんな名前を叫んだからびっくりした。


どうして久我くん!?


と思っていると、あたしの目の前にちょうど久我くんが走ってきて。


蒼くんがそんな彼を捕まえたのだ。



「蒼先輩っ!?」



呼ばれた久我くんは、驚いた表情で足踏みしたまま蒼くんの言葉に耳を傾ける。



「俺、今日はこのまま美紗送って帰るから。部活休むって部長に伝えといてくれる?」


「はいっ……わかりましたっ……」



呼吸を乱しながら返事をした久我くんと、チラッと目が合う。



「……っ」



なんとなく、目を逸らしてしまった。

だって……恥ずかしくて……。