「なー。郁人先輩とつき合っちゃえよー」
「ちょっと、盗み聞きしてたの?」
「人聞きの悪いこと言うなって。声がでかくて聞こえたんだよ」
悪気もなさそうに、持っていたパックのコーヒーのストローを吸い上げる。
そんなに大きな声で話してたかな。
恋愛話だし、小声でしてたつもりなのに。
いつもそうだけど、工藤くんがあたしたちの話に耳をそばだててるとしか思えない。
「郁人先輩って、ストイックすぎて参ってんだよ。だから、彼女出来たらちょっとは緩くなるかなって期待できるだろ?」
「えー?そんな理由で付き合えっていうの?」
「そんな理由!?マジ切実なんだよ!」