言いかえれば、あたしには今まで笑顔がなかったってことで。
それは自分でも自覚していた。
友達もいなくて、お兄ちゃんも病気で……あたしが笑顔になれる要素なんてひとつもなかった。
「うん……楽しいよ」
口の中のチョコレートは、もう完全に溶けてなくなってしまった。
伊織ちゃん、そして工藤くんや久我くんのおかげで、中学のときとは見違える学校生活を送れている。
そんなに学校の話をしているわけじゃないけど、お母さんもお姉ちゃんもあたしの変化に気づいてくれてたんだ。
……なんだか、うれしい。
「それに、蒼くんも居るから……」
そう付け足すと、ニコニコしていたお姉ちゃんの顔が、一瞬曇ったような気がした。



