引き寄せられるように窓の外を見れば。
3階の窓から広がる景色は遮るものもなく。一面灰色の空からは、まっ白な雪がはらはらと舞い降りてきていた。
ゆっくり、ゆっくりと。
今年はじめての雪。
瞬きを繰り返し、クリアになった視界にそれを焼き付ける。
わぁ……。
すべての感情を消してくれるような、白。
美しさと儚さを持ち合わせたその光景は、不思議と心を浄化していくようだった。
あたしのくすぶった心を、まっしろに染めていくように……。
「雪が強くなる前に帰った方がいいよ」
「……っ」
ハッとして顔を戻すと、彼はもう教室を出て行くところで。
学ランに身を包んだ彼の後ろ姿が目に飛びこむ。
「あ……」
そして、すぐにあたしの視界から消えた。