……え。



「永井も、よろしく」



伊織ちゃんに向けられていた目が、あたしに移って。

掛けられた声に、無意識に心臓がドクンと跳ねた。



「よ、よろしく……」



……となり、久我くんなんだ。


クラスの男の子とはほとんど喋ったことがないけど、久我くんはちがう。


委員会も一緒だし。

伊織ちゃんによくちょっかいを出している工藤くんと仲良しなせいか、会話で絡むことがたまにある。


だから、あたしと久我くんの仲がいいのかっていったら、ちがうけど。


……なんとなく、特別感があるからちょっと身構えてしまった。



「よかった、この席で」


「えぇっ……」



足を投げだして椅子に座った久我くんがポツリとそんなことを言うものだから、あたしは大げさに反応してしまう。