……どうやら、同じ教室で受験をしていた人みたい。
彼は机の中から取り出した忘れ物を鞄に入れると、なぜかこっちに向かってきて。
あたしの目の前で、ピタリと足をとめた。
……え。
「大……丈夫……?」
掛けられた声に、戸惑う。
……こんなところでひとりで泣いていたから、気になったのかも。
「……ひっく……」
答えるつもりなんてなかったのに、まるで返事をするかのように嗚咽が漏れてしまった。
すると。
「よかったら、これ使って」
差し出した何かを、机の上に置いた。
「それから……」
「…………」
「雪、降ってきたよ」



