いつも休み時間はどちらかの席でお喋りしてたけど、これからは移動しなくてもお喋り出来るなんて幸せすぎる。
こんな楽しい学校生活を自分が送れるなんて想像もしてなかった。
……世の中、つらいことばっかりじゃないよね。
蒼くんや陽菜ちゃんがふつうの生活を取り戻しているように、あたしも少し遅い青春を楽しめたりするのかな。
どこかで見てるお兄ちゃんが、力を貸してくれているのかも。
お兄ちゃん、ありがとう……。
「あ、凜太朗くんそこなの?」
伊織ちゃんの声で我に返った。
その視線はあたしの横で……。
「ああ、よろしく」
その声に目を向けると、あたしの隣に久我くんが机をセットしているところだった。