「美紗ちゃん、部活やってるの?」
「ううん、やってないよ」
「あたしもなんだ。じゃあ、今度放課後どこか遊びに行こうよ」
「うん、行こう!」
……お兄ちゃんのこと、まだ忘れられない……?
気になるけど、やっぱり聞けない。
笑顔の陽菜ちゃんだからこそ、聞いちゃいけない気がしたんだ。
みんな、悲しみを抱えながら少しずつ前へ進んでるんだよね。
蒼くんも、陽菜ちゃんも。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんも。
……あたしも、いつまでも立ち止まってなんかいられない。
みんなと一緒なら、前へ進めるかな……。
みんなと一緒に、前へ進みたい。
初めてそんなことを思ったあたしの心の中は、なんだかすごく晴れやかな気持ちだった。