いわゆる二股という大それたことを私はしていた。

 シンちゃんには桐生さんとの関係を怪しまれないように、桐生さんにはシンちゃんの存在がバレないように、神経を尖らせていた。

 けれど、こんなことを長く続けられるはずがない。

 どこかで終わらせなくちゃ。

 どちらの関係を終わらせるのか、その決断に至らないまま時間ばかりが過ぎていた。
 桐生さんとの関係は日を重ねるごとに深いものになっていった。

 会う時間も、頻度も増え、アクセサリーの仕事にしても桐生さんのお蔭で、趣味だったものが仕事と呼べるくらいになっている。