「ついに本番だね」


千代がそう声をかけてきた。


突然の変更にバタバタしたけれど、なんとか準備は整った。


小春ちゃんに借りて来た制服も可愛いと言ってもらえたし、すべてがうまく行っている。


「今日、打ち上げするんでしょ?」


千代がコソッと耳元でそう聞いて来たので、あたしは目を見開いて千代を見た。


「なんでそれ……」


まだ誰にも話はしていない。


涼太だって、そんなことしゃべるとは思えなかった。


「昨日の放課後あたしもまだ学校にいたの。体育祭の委員になっちゃったし、みんなの進行状況を見ておかないといけなくてさ」


そう言えば、千代は体育祭委員の1人だった。


仮装の事に気を取られてすっかり忘れていた。