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午前中の授業を終えて、あっという間に昼になっていた。


とにかく遅れていた勉強に追いつく事を目標にして、ノートと教科書にかじりつていたら、一瞬にして時間は過ぎていく。


俺と古家先輩は死ななかった。


沢山の仲間が死んだのに、俺たちは日常へと戻り、テストやら修学旅行やらに備えなければいけない。


普通に戻るというのがこれほどまで過酷なのだと、俺は大きくため息を吐き出した。


「授業、ついていけてる?」


帰り支度をしているとトモキがそう声をかけてきた。


「あぁ……なんとなく、先生の言っている意味は理解できてきたよ」


「そっか。それならよかった」


トモキはそう言ってほほ笑む。


風花と城が亡くなってから、俺は学校生活をトモキと一緒に過ごすようになっていた。


昔みたいな騒がしさは失われたけれど、それでも楽しいと感じられることもあった。


「よかったらこれ使いなよ」


トモキがそう言い、カバンから参考書を取り出した。


それはとても薄っぺらくて、ホッチキスで留めただけのものだ。