目が覚めた時、窓の外はオレンジ色になり子供たちの声は聞こえなくなっていた。


スマホで時間を確認すると夕方の5時を過ぎていた。


大きく欠伸をしてベッドから下りる。


幾分か頭がすっきりしているように感じる。


「やっぱり睡眠は大事だな」


そう呟き、リビングへと向かった。


「あら、おはよう」


丁度エプロンをつけて夕飯の準備をしようとしていた母親が、俺を見てそう言った。


「おはよう」


この時間におはようと言うのはなんだかおかしいけれど、そう返事をしておいた。


リビングのテレビでは真っ赤な花が紹介されていて、俺は思わずその花に釘付けになっていた。


「これ……この花って……!」


テレビに食いつく俺に、「あぁ、椿だな。今度は花に興味が出てきたのか? 多方面に興味を伸ばすのはいいことだぞ」と、父親が豪快に笑った。


違う、そうじゃない。


でも否定をするほどの事でもなくて、俺は返事もせずにテレビを見ていた。


画面の下には《この番組は再放送です》という文字が出ている。