「あれ、ハル。なんか不機嫌?」 「ううん、何でもないよ……っ!」 私の隣に並んで歩く夏くんに、何か言われたけれど適当に流そうと思ったのに。 「嘘つき。顔にちゃんと書いてある」 突然目の前に立って、かがみこんで私の顔を覗いてくる夏くん。 「……ち、近いからっ」 しかも、ここ廊下……! 図書室の近くだから人こそ少ないけれど。 少なきゃいいって問題じゃない。 「あは、赤くなってる。かーわいっ」 「っ、バカぁ」 からかわれているのにムッと来て、夏くんのことを睨みつける。