「なあ、俺のこと王子ではなく、"ライト"と呼んでくれない?ずっとその声で呼ばれるのを待っていたんだ。お願い」
「え?……っと。ら、いと様?」
「もう一度」
「ライト様……」
言うないなや、王子は唇を重ねた。
その口づけは優しいものであったが、とても情熱的。
王子の唇から思いが伝わって、私の心は温かくなり満たされていく。
口づけひとつでこんなにも幸せな気持ちになれるのは、きっとお互いの気持ちが通じ合ったからなのよね。
……不思議ね。
それまでは、あんなに怖気づいていたのに。
気持ちを伝えた今、そんな不安が打ち消されて勇気に変わっている。
……もう大丈夫。
これからどんな辛いことが起ころうとも。
私は王子が好きで。王子は私が好きで。
同じ気持ちを持っていた。
その事実が私の糧となって、どんな苦難も耐えられそうな気がするわ。
口惜しそうに、唇が離れた。
互いの触れた部分の余韻を感じながら、私たちは見つめ合い、そして笑い合う。
――ほんの少しの幸せな時間。
しかしそれはすぐに、強く叩かれたノック音で、無残にも現実に引き戻された。


