タエの眠気は一気に吹き飛び、笑顔になる。


「いらっしゃいませ。好きな席へどうぞ」


カウンター越しに2人の声をかけ、すぐにお冷の準備をする。


氷を入れたグラスに水をそそぐとカラカラと涼しげな音を立てる。


タエはこの時の音が好きだった。


「お決まりになられましたら――」


タエが水を出しながらお決まりのセリフを口にしている最中に、2人の注文は決まった。


2人とも親子丼だ。