そして、ものの十分も経たない内に、あれだけあった仕事は片付き…。


しゅっ、と無造作にネクタイを緩めた十色は、一つ呼吸を置いて私の方を向いていた。



「なーんで、お前はそんな顔ばっかすんだ?泣きそうな顔してんなよ。滅茶苦茶にしたくなんだろ?」

「…だって…私やっぱり十色居てくれないと、一人じゃろくに仕事も出来ないし…」

「ちゃんとした企画書、その他の書類文章作成出来てる奴が何言ってやがる。自信持てっての」

「……でも」

「お前よりたかだか一年先に入社してきた奴の企画書がアレだぜ?ほんと、俺の手直しなけりゃ、明日赤っ恥掻いてんだろうよ」

「と、十色…」

「大丈夫だ。お前はちゃんとやってるよ。俺が言うんだから間違いねぇだろ?」