「あーぁ。お腹空いたなぁ…」

「じゃ、俺を構えよ」

「…あんたじゃ、お腹いっぱいにはなんないでしょ」



私の横から、声を掛けて来たのは、濃いグレーのスーツをビシッとキメた、甘い甘いマスクのイケメン…。


「んなことやってみなきゃ、分かんねぇだろーが」


もとい、俺様。


「十色はさ、私にケンカ売ってんの?!」

「はぁ?お前に売ってやるようなもんなんざ、一つもねぇよ」

「きー!可愛くない!」

「そ…俺様は可愛いんじゃなくて、格好いいの」

「はぁ?!」


何時の間にか、自然と出来上がった、この関係。

彼は、なんだかんだ言いつつも。


「おら。データ飛ばせよ。最速でナンバリングまで全部してやるから」


と、ムカつくくらいに綺麗な手を差し伸べてきた。