「お疲れ様でしたー」
「気をつけて帰れよー」
居酒屋・白虎から外に出ると、この時期の昼と夜の寒暖の差に震えそうだった。
私も薄手のコートの前をしっかりと閉じて駅へ向かう。
「佐々木」
振り向くと片手をコートのポケットに突っ込んだ大野さんがこちらを向いて立っていた。
バス1台分くらい離れた距離なのに、機嫌がいいのが分かった。
「なんですか?」
私もニッコリ笑って叫んだ。
「新しいオフィスに行くけど、おまえもどうだ?」
1台の車が大野さんを照らして通り過ぎていく。
「今からですか?」
たぶん10時は過ぎているだろう。
今から神奈川県にある新しいオフィスに向かうと確実に終電はなくなる。
「俺は行く。おまえも来いよ」
今、大野さんがどんな表情をしているのか、離れた場所からでは分からない。
行かない方がいい。
行ってはいけない。
私の中の理性がそう告げる。
「気をつけて帰れよー」
居酒屋・白虎から外に出ると、この時期の昼と夜の寒暖の差に震えそうだった。
私も薄手のコートの前をしっかりと閉じて駅へ向かう。
「佐々木」
振り向くと片手をコートのポケットに突っ込んだ大野さんがこちらを向いて立っていた。
バス1台分くらい離れた距離なのに、機嫌がいいのが分かった。
「なんですか?」
私もニッコリ笑って叫んだ。
「新しいオフィスに行くけど、おまえもどうだ?」
1台の車が大野さんを照らして通り過ぎていく。
「今からですか?」
たぶん10時は過ぎているだろう。
今から神奈川県にある新しいオフィスに向かうと確実に終電はなくなる。
「俺は行く。おまえも来いよ」
今、大野さんがどんな表情をしているのか、離れた場所からでは分からない。
行かない方がいい。
行ってはいけない。
私の中の理性がそう告げる。