「さすが佐々木だな」

南主任が静かに言った。

「大野。3課をまとめてたのは課長じゃないぞ」

急に話題が変わって、大野さんも一瞬訳が分からなそうだった。

「じゃあ誰っすか?南さんとか言うんですか?」
「いや。俺でもない……佐々木だよ」

みんなの視線が私にきた。

「私?何言ってるんですか主任」
「あー、そうかもしれない」

チーフまでうなづいている。

「佐々木のその周りの雰囲気をやんわりとまとめる力は、俺すごいと思うぞ」
「そうね。私も助かってる」

二人が私を優しげな目で見ているので恥ずかしくなる。

「いや、そんなことは……」
「でもな、佐々木。反面その事なかれ主義は自分の首を絞めることにもなるぞ」

ドキリとした。

ばれている……

「自分の意見を言いたいときには、遠慮せずに言え」

南主任は私のことまでよく見ているようだ。

「はい…」

私の声は小さくなっていく。

チーフが私の腕をポンポンと叩いてくれた。

「大丈夫よ。私も最初はそうだったから…」

ニッコリ笑ってそう言ったチーフに、

「おまえは最初から女豹みたいだったぞ」

って主任が言うので、みんなで笑った。


「まぁ、仕事の面ではあれだけど、雰囲気を作ってるのは佐々木や伊藤や堀だろ」
「大野。あんたはあんたらしくでいいんだよ。変にまとめようとかするから空回りすんのよ」

さすが伊藤チーフ。
私もそれが言いたかったんです。

それからの話は盛り上がった。
大野さんは、意外といじられキャラだったことが判明。


やっぱり、3課は居心地がいい。