たとえ本心からの悪口じゃなかったとしても、それを更に誘発することはできる。


休憩時間になり、あたしはカナを廊下へ呼び出した。


「話ってなに?」


カナは手鏡を見ながらそう聞いて来た。


「ねぇ、龍と別れたの?」


あたしは興味津々と言った様子を演じてそう聞いた。


「は?」


カナは鏡から目を離して怪訝そうな表情を向けて来た。


「あ、違った? ごめん、あたしの勘違いだった」


早口でそう言い、教室へ戻ろうとする。


するとカナがあたしの腕を掴み「待って!」と、引き止めて来た。


思っていた通りの展開に内心ニヤリと笑う。


しかし、顔では焦っているそぶりを見せた。