「『ロッカールーム』の悪魔は1人しかいない。だから会いたい人が複数いた場合も、誰か1人としか会う事はできない」


「なに言ってんだお前」


サクが花につかみかかろうとするので、あたしは慌ててそれを止めた。


「お父さんとお母さんは交互にしか出てこなかった。そして今日、お母さんは出てこなかったの。悪魔が1人しかいなくて、それが今お父さんの姿をして家にいるとすれば、話は通じる」


あたしがそう言うと、サクは驚いたようにあたしを見た。


「こんな奴の話を信じるのか?」


「信じてるわけじゃない。だけど、本当かもしれない」


そう言うとサクは苛立ったようにため息を吐き出した。


「教えてあげる。昔、あの『ロッカールーム』で何があったのか」


花はそう言って笑顔を浮かべたのだった。