「今日はお父さんに会いに行く」


あたしがそう言うと、祖母は目を丸くしてあたしを見て来た。


「旧校舎の噂で、死者に会えるロッカーがあるの。あたしとサクは毎日お父さんとお母さんに会いに行ってる」


「なにをバカなことを言ってるんだ!」


祖母の怒鳴り声は初めて聞いた。


目を吊り上げて怒っているけれど、その表情はどこか悲しそうにも見えた。


「死者に会えるなんて、そんなことあるはずないだろ!」


「だけど実際に俺たちは会ってきてるんだ」


サクがイライラとした口調でそう言った。


「そんなのだたの幻想だ! 自分たちで作りだした幻なんだよ」


祖母はなぜだか今にも泣きだしてしまいそうになっている。


「お婆ちゃん、あたしたち本当にお父さんやお母さんに会ってるんだよ。今日一緒に行けばわかるから」