「…なに、高校生活で?」 「そう」 「…あるよ」 少し歩幅を緩めてそう答えたコウに、少し驚いた。 「コウでもそんなことあるんだ?」 「なんだよ、有沢だって俺と同じくらい能天気だろ」 「そうだけど…」 「お前だってひとつくらいあんだろ、後悔してること」 「…うん、ある」 あるよ。 私、すごく後悔してるよ。 あのときキスしなかったことも。 きみの腕を掴まなかったことも。 きみに何も聞けなかったことも、ぜんぶ。