ゆっくり、近づいた秋樹の顔。 時間が止まったみたいに、息をするのも忘れて。 どきん、どきん、と心臓の音が頭の中に大きく反響する。 水に濡れた足が風にあたって、ひんやりした。 あと、数センチ。 触れそうになった唇に、思わず「…え、」と声が漏れた。 と、ハッとしたように離れた秋樹の身体。 「っ、ごめん」 慌てたような秋樹の声に、何が起きていたのか理解した瞬間、急に熱くなる頬。 ドクンドクンと脈打つ音が、頭に響く。