秋樹が戸惑っていることは、気付いてる。


優しくて真面目な秋樹のことだ、きっと会ってすぐ私に謝ろうとしていたことも、ちゃんと話してくれようとしたことも。


秋樹からの電話も、「明日話したい」ってメッセージも、昨日届いたけれど無視してしまった。




そして決めたことは1つ。



何もなかったみたいに、今まで通りでいよう。


東京に行くことなんて、聞かなかったことにするから。

だから昨日私が泣いたことも、忘れてほしい。

もうあと1日しかないんだ。

秋樹と喋らないまま過ごすなんて、勿体無い。




「芹奈、明日いっぱい写真撮ろうね」

「柊香!うん、撮ろう!」




柊香たちが来たから、秋樹はまだ何か言いたそうだったけれど口を閉じた。



…ごめんね、秋樹。


いっぱい困らせて、ごめんね。



昨日私が泣いたりしなければ、普通に今まで通りいられたはずなのに。


溢れてしまって、自分勝手で、ごめんね。