「失礼しまー……って、先生いないや」 保健室に着くと、オキシドールの匂いに鼻がツンとする。 先生は職員室にいるらしく、秋樹は私をベッドの上に下ろして座らせてから、先生を呼びに行こうと立ち上がった。 きゅ、と柔らかい秋樹のカーディガンを掴んだのは、無意識。 「…え」 「ただの寝不足、だから」 「でも一応先生に見てもらった方が…」 「……行か、ないで」 それは、何に対してだったのか。 言った私にもよくわからない。 少し目を見張った秋樹は、すぐに優しく笑って私の隣に腰を下ろした。