「そ、それは悪かったな…

高嶺たちは知ってたみたいだから、てっきりお前にも言ってるものだと…」




なに、それ。


聞いてない。


高嶺たちは知ってたの?


知らなかったの、私だけなの?


秋樹は東京に行っちゃうの?



東京って、ここから何時間くらいだっけ。


あまり行ったことがないから分からないけれど、毎日通うことは不可能な距離だ。



ってことは、つまり、きみは。




春にはこの街からいなくなってしまう。






「なんか、ごめんな…?」



心配そうに顔を覗き込む先生に、下手くそな作り笑いを返した。




「全然気にしてないです!

じゃあ、失礼します!」




なんだかよく分からなくて、現実味がなくて、感情が追いつかなくて。


自分の手が震えているのを見て初めて、すごく動揺していることに気づいた。