八木邸へ戻ると、私の簪に気づいたお父さんが駆け寄ってきた。 「おぉ!!梅に貰ったのか!良かったのぅ」 『うん!!』 見ればまだ日は真上。丁度正午くらい。 『少し散歩してきてもいい?』 「ん?ならうちも行きましょか」 『ううん。大丈夫。ありがとう』 散歩という肩書きを残し、私はお父さんの事について調べに向かった。 門を出る私を、二人が悲しそうな目で見ていたのは誰も知らない。