そこは髪飾りなどが並ぶ、現代には無い、綺麗なお店だった。 私の目に止まったのは、桜の小細工が施された簪(カンザシ)だった。 「あら、気に入ったの?」 『ちょっと……』 「…………すみません、コレください」 『え、私お金持ってないわよ?』 「いいのよ、いいの。うちが払ったるで」 『ありがとう……大切にする』 その言葉に梅は優しく微笑んだ。