「だよね。君みたいな女の子に、間者なんて務まらなそうだもん」 『…………』 「やだな、冗談だよ」 『冗談に聞こえませんけど』 「まぁそれはさておき、何でそんな変った着物着てるの?」 そういえば学校の帰りで制服のままだった。 『住む場所がなくて困っている私に、優しい異国の方がこの洋服、と呼ばれる着物をくださったんです』 「そういうこと。じゃあいいや、僕は近藤さんに報告して来るから、ここで大人しく待っててね」 『はい』