桜樺 -ouka-




翌日、私は丘の上に咲く桜の木へと来ていた。







「瞳………」






『来るんじゃないかって思ってた』






「ふっ。俺も」






『明日、新選組の皆で花見するんだ』






「よかったな」






『なんかね、わかるの。明日、この花は散る。それと共に私は明日未来に帰る』






「……後悔は、ないのか?」






『ないよ!後悔なんてひとつもない』






「そっか。それなら良かった。後悔してるんじゃないかと思って」






『後悔なんて………。でも…もっと皆と一緒に居たかった……大好きな人たちと、最期まで戦いたかった』






後悔なんてない。
でも、可能ならばずっとここに居たかった。大好きな新選組の元で…大好きな総司と一緒に。






『こんな事、言わないように残りの時間を過ごしてきたつもりなのに……やっぱりここが好き。この時代が、皆が大好きで…愛おしい』






「瞳………」






祐が泣きながら優しく抱きしめてくれた。






『祐と会うのも、これが最後だね』






「あぁ」






『今まで……あり、がと…っ』






「……あぁ」






『本当に、ありがとう。心から感謝してる。大好きだよ』