桜樺 -ouka-




屯所に戻り、いつものように食事の支度をしようとすると、どこからか物凄い足音が聞こえてきた。





「ひとみいいいいいい!!!!」





『わっ』





藤堂さんが乗りかかってきた。





「こら、やめろ平助」





「だってだってぇ…」





見渡せば、私と藤堂さんを左之さん、永倉さんが囲んでいた。
少し離れたところに近藤さんと土方さんが腕を組んで見ていて、隅には沖田さんがむすっと立っていた。





『あ、あの……どうかしたんですか?』





「そうだよ!どうかしたんだよ!!」





なんだその喋り方。ギャップヤバいよ、可愛いよ、永倉さん。





「瞳って恋仲がいたの?!」





『え……えぇ?!どどどどうしてそんなことに!!』





「だって今日聞いたよ!?左之に!瞳が男に会いに出ていったって!」





『なっ……違いますよ…彼は私の小さい頃からの仲良しで、何もありません』





「ほんとっ?!」





意外にも、いち早く食いついてきたのが沖田さんだった。