「イケニエの為に町の全員が集まってお祭りをして……それでも、呪いは解けないのかな」


呪いという言葉にあたしは一瞬言葉に詰まってしまった。


ここに来て驚くことも沢山あったけれど、なにより楽しかった。


人がやさしくて、いつまでもここにいたいと思える町だった。


けれど、あたし達の目的は呪いを解く事なんだ。


この町が発端となっている、砂嵐の動画の呪いを……。


時計の針が12時を指した。


同時に沙良のスマホが震える。


沙良がビクリと体を震わせて、手の中のスマホを見つめた。


「沙良……」


あたしは沙良の背中にそっと手を当てた。


12時をまたいでピッタリに来るメールなんて、嫌な予感しかしなかった。