王妃様は、初めて私の前で国王様を名前で呼んだ。

それは私の質問に対しての答え。
けれどまるで国王様に告白するような、そんな表情で。


そのとき、私は理解した。

国王様と王妃様は、深く大きな愛で結ばれているのだと。

そして王妃様が生み出す安心感は、互いの愛するという思いから生まれたものなのだと。



――私も、王妃様のようになれるだろうか。

大きな愛を持つ人間になれるのだろうか。



……なりたい。

堂々と、幸せだと言えるような人間になりたい。


そのためには、逃げていてはいけない。

自分の気持ちを、真正面から見つめ直さなければいけないのだ。