するとベッドの隅に挟まれないよう、なんとかその場に保とうしていたスマホが震えて存在を示した。

手に取り画面に表示されていた名前に、心が踊った。


『今日の19時、駅前の牡丹っていう居酒屋に集合。聞いて驚け?今日かなりの人数集まったぞ!めいいっぱい楽しもうな!』


裕治くんの声で来たメッセージが頭の中で再生される。

携帯をそっと握りしめ、額に当てる。

神様、仏様……どうか、私に幸せが舞い降りますように。

一度深呼吸をして心を落ち着かせる。

スマホを開いてメッセージを返そうとするものの、上手く言葉が出てこない。

かれこれ20分悩んで送ったメッセージは、かなり短く可愛げのないものになってしまった。


『ありがとう。すごく楽しみにしてるね♪』


我ながらもう少し頑張れば良かったかな?と思いつつも、送ってしまってからはもう仕方ない。

気持ちに喝を入れ立ち上がり、ブローチをそっと手に取った。

ひんやりと冷たい感覚は、昨日壱目さんに掴まれた手の感覚に似ている。