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最初の投票時間まで残り10分になった時、彩が教室に戻ってきた。


その目は真っ赤に染まっていて1人で泣いていたのだとわかった。


こんな時に頼れる人がいないのは、今までの彩の行いのせいだった。


可愛そうだけれど、仕方がない。


自分の席に戻った彩は無言で投票用紙に名前を記入し、木箱へ入れた。


彩は誰の名前を書いたんだろうか。


「みんな投票終わったみたいだなぁ? 少し早いけど、開封するぞ!」


先生の言葉に教室内がざわめいた。


時間が早まればその分誰かが死ぬ時間が早くなるということだ。


「30分経つまで、待ってください!」


裕司が大きな声でそう言った。


この投票で裕司は殺す側として選ばれるかもしれないのだ。


心の準備のための時間は、いくらあっても足りないだろう。