Honey ―イジワル男子の甘い求愛―



「涼太が一緒なら荷物持ちとか頼めるし便利だよねー。ほら、割り込みとかもさ、女だけだと注意とかできないけど、その点も涼太がいればちゃんとしてくれそうだし」

「……そう? 菜穂はガンガン注意できそうだけど」

たとえ相手がスーツにサングラス姿でどう見てもその筋の人だったとしても、〝どこに目つけてんの? 並んでるんだけど〟とか普通に言いそうだ。

その場面を想像して、やっぱり涼太についてきてもらった方が平和かも……と考えながら、菜穂と新しくとってきたパンをそれぞれ食べて、食後のデザートをお願いする。

そして、間もなくして店員さんがケーキののったお皿を持ってきてくれたとき。
菜穂が「あれ?」と小さな声をもらした。

菜穂は、窓の外をじっと見ていて……私もそれを追い、涼太の姿を見つけた。

一方通行の細い車道を挟んだ向こう側の歩道。
涼太と女の子が歩いている。

女の子の年齢は、涼太と同じくらいに見えた。

十メートルは離れていないにしても遠目からだからよくわからないけど、可愛い感じの子だ。
ブラウスにショートパンツ姿で、足元は黒のパンプスみたいだった。

さっさと歩く、黒いTシャツにジーンズ姿の涼太を、その子が追いかけているようなそんな感じだ。

デートかなぁ……。だとしたら歩幅合わせてあげればいいのに。

そんな風に考えて、あれっと思う。
だって、涼太が駅から私のアパートまで送ってくれるとき、歩くスピードが速いと思ったことがなかったから。

私、歩くスピードあんなに速いのかな、と首を傾げていると菜穂が言う。