「い、いえっ、大丈夫ですっ。失礼しますっ……!」



あたしはくるりと身を翻して、元来た道を小走りに進んだ。

あ、待って!という背後に掛かる声を無視して。


……メガネの彼が来た瞬間逃げちゃうなんて、かなり失礼だったかな。


でも。


チャラ男くんに話すのもイヤだけど、まじめに聞いてくれるって言われたら、もっとムリだと思ったんだ。

しかも、男の子がひとり増えたっていうだけで、あたしの心臓にも悪い。



「ちょっとー、花恋ー!?」


「どしたー?」



杏ちゃんと友梨ちゃんがそのあとをパタパタと追いかけてくる。