「あっ、逃げた!」


「ちょーっとちゃんと説明しなさいよーーーーー!」


「おいこらっ!待て――――」



翔くんの温もりが、しっかりあたしを掴んで離さない。


だから、あたしもこの手を離したくない。


ずっとずっと、翔くんの隣にいたいよ……。



「もっと走れ!」


「ええっ!もう無理!」


「ふはっ、超楽しー!」


「ふふっ」



あたしは、翔くんの手を、ぎゅっと握り返した。



きっと、これから楽しくて輝いた毎日が待っている。


そうだよね。翔くん……?


想いが通じたのか、見上げたあたしに、柔らかく微笑んだ翔くんの瞳がぶつかった。



廊下には、バタバタと幸せの足音が響いていたーーー。





《fin》