どうしたの、青山くん……?


どうしてそんなに、本気になるの……?



「……っ」



笹本くんは這うようにして自分のカバンを引っ掴むと、少しよろけながらも逃げるように図書室を出て行った。


なにも反論せずに。


周りを見れば、机や椅子が大きく動き、ここはもう図書室とは思えない。



「逃げたのがいい証拠だろ」



吐き捨てる青山くんはかなり息が上がっていて、首筋からは汗が伝っていた。



バクバクバクバク……


心臓がものすごい速さで鳴っている。



青山くん……


怖かった。怖かったけど。


味方のいないこの部屋で。


ただひとり。


あたしの味方がいてくれたような気がした。



青山くんはそんなつもりがなくても。


あたしにとっては、すごく救われて。


ここ数日張りつめていたものが、フッと緩んで。


涙が頬を、一筋伝った。