青山くん……。


どうしてそんなことしたの……?


あの日は、あたしのことすらまだ知らなかったはず。


あたしもそうだったように、見ず知らずの人のメッセージを見てしまうのは不可抗力だとして……メッセージを消すなんてあり得ない。

普通じゃ考えられない。


惚気メッセージにムカついただけで、他人に届いたメッセージを削除する……?


少なくとも、この数週間で知り得た青山くんはそんな人じゃないはず。


でも、本人は、肯定した。


実際、笹本くんもそのメッセージを送ってくれている。


事実に、間違いはない……。


だからこそ余計に。


普通沸き起こるであろう、ひどい、ムカつく、なんていう攻撃的感情の前に。


青山くんがそんなことをしたという事実が、悲しくて仕方ないんだ……。



ねぇ、青山くん。


どうしてそんなこと、したの……?


教えてよ……。



「うぅっ……」



食いしばった口元に負けて、涙が一筋零れた。