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一ヶ月前、任務中の道端でたおれてる男…いや。男装はしていたが持ち上げた時にわかったが女だ。


それに彼女はどこか“さくちゃん”に似ていたから連れてきて今看病をしている。そんなはずはないのだが。




それは酷いもので血まみれだった





お絞りを持っていこうと扉を開けるとどうやら目が覚めたようだ





俺に気づいて凄い殺気を放ってくる
俺を長州の者だとでも思ったんだろう
新選組の羽織を羽織っていたしな。





新選組に返そうとも思ったが何故だが彼女が気になってしまったのだ





『うぐっ…!!!』





まだ怪我が治っていなかったようで、その場に力なくへたり込んでしまう彼女を受けとめた





『…大丈夫だ。俺はお前の敵じゃない』





彼女はその言葉を聞いて安心したように口を開く





「……貴方は誰?」





『佐々木 幸(ささき ゆき)



お前は?』





「香月…桜海……」





やっぱりか
お前は………
でも香月なんて苗字、沢山いるんだ
それに香月一族は全滅したはずだ





『香月って……あの一族のか??』





桜海「?! 何で知ってるんですか?!」




確信した。彼女はあの、“かづちゃん”だ。
だが本人は忘れているらしい




『香月一族が全滅した日…俺もあの場に居たんだ』







桜海「え?」






『さくちゃん……』





桜海「?!?!?!」






『俺とお前は幼馴染みだったんだ。覚えて…ないか?』






長い沈黙のあと、思い出したように顔を上げてこっちをじっと見てくる





桜海「ゆー?」




『おう』




桜海「えぇ?!本当に?!昔は私の方が身長高かったのに、見上げるほどだねー!」




『さくは小さいのな』





桜海「“さく”じゃなくて“さくちゃん”がいいなぁ!!昔みたいにしたい!」





一見、彼女は普通の女の子に見えた。昔と変わらないように見えた。
だけど彼女の傷はそんなものじゃないのだろう……




俺でさえずっと引きこもっていたのだから




『わかった。さくちゃんって呼ぶな』




にひひっと笑うさくちゃんが愛おしく思えた




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