すっと一歩近づいてきて顔を覗き込まれる。
あまりにも近いその距離に後ずさった。
でもまた一歩近づいてきて、鼻をクンクンとさせて匂いを嗅がれる。
「童、お前本当に神楽の御前(みさき)か?」
かぐらのみさき?
んもう、なんでさっきから訳の分からない単語ばっかり……!
「まあ良い……汝、我の前においてその力を捧げろ」
訳の分からないままじっと嘉さんを見つめていると、急に周りが暗くなる。
どんな演出を使っているのか全くわからない。
ボッボッと音を立てながら一つまた一つと、優しい光でほのかに私と彼を照らす火の玉が現れる。
ふわっと吹き抜けていく風が白い花びらを連れてくる。
すると太鼓の音とあの鈴の音がどこからか響いてくる。
い、一体なんなんだろうこの演出……
大河ドラマでもこんなシーンなんてなかなかない。



